【霞沢岳】車中泊前泊で登る日帰り登山ガイド|徳本峠クラシックルート・長野

ガスの晴れ間から望む霞沢岳への稜線

霞沢岳(かすみざわだけ・標高2,646m)は、常念山脈の南端で上高地を見下ろすように立つ日本二百名山です。穂高連峰と焼岳を正面から望む展望台として知られていますが、登路は限られていて、どのコースを選んでも長丁場になります。

なかでも島々から徳本峠を越えて入るルートは、「徳本峠越え=クラシックルート」と呼ばれる古道です。上高地へのトンネルが通じる昭和8年まで、ここが上高地への表玄関でした。土砂崩落の影響で2025年4月9日から通行止めになっていましたが、2025年9月30日に解除され、再び歩けるようになっています。

2026年9月、このクラシックルートから霞沢岳を日帰りで往復しました。距離41.6km・のぼり3,257m、行動時間は休憩を含めて16時間3分。深夜に歩き始め、夕方にようやく駐車場へ戻る長い一日になりました。この記事では、登山歴・車中泊歴10年のソロ視点で、前泊場所や駐車場の受付方法から、暗闇の渡渉で道を間違えた経験まで紹介します。区間標準の合計は24時間52分で、今回はそれより短い時間で歩いているため、長距離・長時間行動に慣れた方向けの実踏記録として参考にしてください。

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目次
標高2,646m
所在地長野県松本市
山のリスト日本二百名山
今回のコース徳本峠登山口(島々)〜二俣〜岩魚留小屋〜徳本峠〜ジャンクションピーク〜K1ピーク〜霞沢岳(往復)
コースタイム目安24時間52分(区間標準の積み上げ)/今回の実測16時間3分
距離・累積標高41.6km/のぼり3,257m・くだり3,255m
ベストシーズン6月下旬〜10月中旬

霞沢岳はどんな山か

霞沢岳は、上高地をはさんで穂高連峰と向かい合う位置にあります。標高こそ2,646mですが、山頂手前にK1ピーク・K2ピークという小ピークが連なり、登り返しの多さがそのまま体力の消耗につながるのが特徴です。

無雪期に徳本峠を経由する主なアプローチは、上高地側と島々側の2つです。今回は、登山口近くまで車で入れる島々側から歩きました。出発時刻を決めやすい一方、上高地側より距離と行動時間は長くなります。以下では、この島々側の駐車場と前泊場所から順に紹介します。

登山口は松本市の島々地区、国道158号から野麦街道沿いに入ったところにあります。登山口まで全線舗装で、ダート区間はありません。国道から近いので、前泊地からのアプローチも短くて済みます。

ただし駐車場そのものが分かりにくいのが最初の関門です。看板も標識もなく、駐車枠を示す白線もありません。ぱっと見では「ここに停めていいのか」が判断できない、ただの舗装スペースに見えます。

徳本峠登山口の第一駐車場。看板も白線もない舗装スペース
看板も駐車枠の白線もない(下山時撮影)
駐車場の受付をしている民家の玄関。「P 受付」の看板が出ている
郵便局の斜向かい、「P 受付」が目印(下山時撮影)

駐車料金と受付のしかた

料金は1日1,000円。受付は郵便局の斜向かいにある民家で行っています。玄関前に受付用紙・封筒・支払い方法の説明が置かれているので、到着したら用紙に必要事項を記入してポストへ投函し、駐車券を車のフロントの見える位置に置きます。支払いは山行終了後です。今回の掲示では現金とPayPayが案内されていたので、帰ってきたら受付の説明に沿って精算する流れになります。

徳本峠登山口駐車場の受付。受付用紙と封筒、支払い方法の説明が玄関前に置かれている
受付用紙と封筒は玄関前に置かれている

現地で駐車場所を探す手間を減らすためにも、出発前に島々山荘の案内ページで駐車場と受付の位置を確認しておくと安心です。同ページでは、安曇支所は終日駐車禁止で、登山口ゲートの先も登山者は駐車できないと案内されています。停める場所を間違えないよう、こちらもあわせて確認しておいてください。
徳本峠登山口駐車場(島々山荘)

トイレは登山口の手前にある

駐車場から登山口方面へ少し進んだところにトイレがあります。夜間も利用できるので、深夜スタートでも駆け込めるのがありがたいところです。洋式ですがウォッシュレットには対応していません。

徳本峠登山口駐車場から登山口側にあるトイレの外観
夜間も使えるトイレ(下山時撮影)
登山口手前のトイレの個室。洋式でウォッシュレット非対応
洋式・ウォッシュレット非対応

何時までに着いておくか

駐車場と受付の場所を確認したら、次に考えたいのが出発時刻です。今回は1時50分ごろに歩き始め、駐車場へ戻ったのは17時55分。記録上の行動時間は休憩51分を含めて16時間3分でした。区間の標準コースタイムを積み上げると24時間52分になるため、この出発・到着時刻は、あくまで私が歩いた場合の実績になります。

同じコースを計画する場合は、自分の歩行ペースに休憩や渡渉での停滞を加え、季節の日没時刻から行程を考える必要があります。夜間の渡渉に不安があれば、出発だけを遅らせると下山も遅くなるため、徳本峠小屋での宿泊を含めた計画も検討してください。
私の場合は深夜発に備え、前夜に登山口近くで仮眠してから移動しました。その前泊場所と、候補に挙がる道の駅を次にまとめます。

徳本峠登山口の駐車場は集落のすぐそばにあり、前泊で長時間停めておくには気を使う場所です。少し離れた道の駅で仮眠して、夜中に移動するのが現実的でした。

【1】道の駅 風穴の里(実際に前泊した場所・登山口まで約10分)

国道158号沿い、上高地方面へ向かう途中にある道の駅です。登山口まで車で10分ほどと近く、深夜に動き出すには申し分ない立地でした。ただし駐車場のすぐ前が国道で、大型車の駐車スペースも近いため、静かさの面では対策が要ります。

【2】道の駅 今井 恵の里(松本市内・登山口まで約35分)

松本市街寄りにあり、買い出しを挟んでから向かうのに便利な位置です。こちらも大型車のアイドリングがあるため、停める場所を選ぶ必要があります。

【3】道の駅 アルプス安曇野ほりがねの里(安曇野市・登山口まで約45分)

登山口からはやや遠いものの、南側の駐車場が道路から離れていて静かという点では、今回挙げた3か所で最も眠りやすい道の駅です。

総合的におすすめできるのは道の駅 風穴の里です。静かさでは安曇野ほりがねの里に譲りますが、深夜1時台に起きて動くことを考えると、移動10分という近さの価値が大きいと感じました。国道の走行音と大型車のアイドリング対策として、耳栓だけは忘れずに持ち込むことをおすすめします。

ここからは実際に歩いた記録です。行動時間16時間3分のうち、最初の3時間半はヘッドライト行動でした。暗い時間帯に写真が撮れていない区間は、同じ場所を下山時に撮った写真で補っています(キャプションに「下山時撮影」と記載)。

ルート全体図

霞沢岳 徳本峠クラシックルートの全体図。島々の徳本峠登山口から二俣・岩魚留小屋・徳本峠・ジャンクションピーク・K1ピークを経て霞沢岳へ至る往復ルートと、登りで道に迷った地点

霞沢岳のコースタイム(標準・実測)

区間標準コースタイム(累計)実測コースタイム(累計)
出発 徳本峠登山口駐車場1時52分
〜二俣2:23(2:23)1:23(1:23)
〜岩魚留小屋3:15(5:38)2:06(3:29)
〜徳本峠3:05(8:43)2:05(5:34)
〜ジャンクションピーク1:08(9:51)0:48(6:22)
〜K1ピーク2:40(12:31)1:34(7:56)
〜霞沢岳(山頂)0:50(13:21)0:39(8:35)
〜K1ピーク0:45(14:06)0:30(9:05)
〜ジャンクションピーク2:25(16:31)1:33(10:38)
〜徳本峠0:48(17:19)0:36(11:14)
〜岩魚留小屋2:25(19:44)1:32(12:46)
〜二俣2:50(22:34)1:46(14:32)
下山 徳本峠登山口駐車場2:18(24:52)17時55分
合計24:5216:03(休憩51分を含む)

標準コースタイムはYAMAPの登山地図の区間値です

出発前夜〜当日朝

道の駅 風穴の里で仮眠し、1時起床、1時30分発。1時40分に徳本峠登山口の駐車場に到着しました。着いてすぐ受付用紙を書いてポストに入れ、1時50分にスタートです。

深夜の駐車場受付。玄関前に受付用紙と封筒、ポストが置かれている
深夜でも受付用紙は玄関前にある
深夜の徳本峠登山口。徳本峠を示す道標がヘッドライトに照らされている
1時50分、ここから歩き出す

登り① 登山口〜二俣(林道歩き)

登山口のゲートを越えると、しばらくは島々谷川沿いの林道歩きが続きます。傾斜はゆるく道幅も広いので、暗くても歩きやすい区間です。

島々宿登山口のゲート。ここから林道歩きが始まる
登山口ゲート(下山時撮影)
島々谷の林道にある獣害防止のゲート
林道途中のゲート(下山時撮影)

3時15分、二俣に到着。トイレが設置されていますが、現在は使用できません。令和2年以前の豪雨災害で汲み取り車が通行できなくなったためで、その旨の掲示が出ています。ここから先が本格的な登山道になります。

二俣にある二俣公衆便所。現在は使用できない
二俣の公衆便所(下山時撮影)
二俣公衆便所に貼られた「このトイレは使用できません」の掲示
「使用できません」の掲示(下山時撮影)

登り② 二俣〜岩魚留小屋(渡渉と巻き道)

二俣から先は、沢を何度も渡り返しながら進みます。このコースの核心は、標高差よりも渡渉の多さでした。濡れた木の橋も多く、暗い中では足元の判断に時間がかかります。

島々谷の渡渉点。石を伝って沢を渡る
渡渉点(下山時撮影)
島々谷のコースにかかる濡れて滑りやすい木の橋
濡れた木の橋は滑る(下山時撮影)

二俣~岩魚留小屋間にはベンチも置かれていて、休憩するのにはうってつけのポイントです。

島々谷のコースに立つ道標。分岐の目印になる
要所の道標が目印(下山時撮影)
島々谷のコース途中に設置されたベンチ
途中のベンチ(下山時撮影)

1時間ほど進むと崩落地に突き当たります。ここは通行止めで、迂回路(巻き道)が設けられています。迂回路はロープが張られたしっかりした道で、暗い中でも迷わず歩けました。

崩落により通行止めとなっている区間の標識
崩落地は通行止め(下山時撮影)
崩落地を迂回する巻き道の入口
迂回路の入口(下山時撮影)
崩落地の迂回路。ロープが張られた歩きやすい道
迂回路はロープ付きで歩きやすい(下山時撮影)

一方で、暗闇の中で渡渉ポイントを見失い、道に迷ってしまった場所があります。沢が広がって進路が分かりにくくなる地点で、明るければ対岸の踏み跡と目印がすぐ分かるのですが、ヘッドライトの光だけでは判断がつきませんでした。

暗い中で渡渉点を見失った地点。沢が広がり進路が分かりにくい
登りで迷った地点(下山時撮影)
道迷いした地点の対岸。明るければ踏み跡と目印が分かる
明るければ進路は分かる(下山時撮影)

岩魚留小屋〜徳本峠(日の出と峠直下の水場)

5時25分、岩魚留小屋に到着。ちょうど日の出を迎えました。小屋は現在使われていませんが、ここまで来ると明るくなり、足元の不安から解放されます。

夜明けを迎えた岩魚留小屋。現在は使われていない
5時25分、岩魚留小屋で夜が明けた
岩魚留小屋から先の登山道。樹林帯の歩きやすい道が続く
小屋から先は歩きやすい

小屋から先も渡渉は続きます。沢沿いなので日中でも涼しく、夏場でも消耗しにくい区間でした。

岩魚留小屋から徳本峠の間に続く渡渉点
この先も渡渉が続く
沢沿いを進む登山道。水音が近く涼しい
沢沿いは涼しい

沢沿いを進み、徳本峠に近づくと登山道沿いに水場がありました。ただ、この日は「ちょろちょろ」と流れる程度の細い水量。ここで汲むなら、時間に余裕を見ておきたいところです。

徳本峠手前の水場。細く水が流れている
徳本峠直下の水場。この日は水量が細かった
徳本峠へ続くつづら折りの急な登り
峠直下はつづら折りの急登

水場を過ぎるとつづら折りの急登になります。ここが島々側からの登りでいちばんきつい区間でした。登り切って7時25分、徳本峠に到着です。

徳本峠に建つ徳本峠小屋
7時25分、徳本峠に到着
徳本峠の標識。中部山岳国立公園 徳本峠歩道と記されている
徳本峠の標識

徳本峠〜ジャンクションピーク〜K1ピーク

徳本峠からは比較的ゆるやかな登りに変わります。8時15分、ジャンクションピークに到着。ここまで来ると視界が開けてきます。

徳本峠からジャンクションピークへ向かう登り
峠からは緩やかな登り
ジャンクションピークの標識
8時15分、ジャンクションピーク

ジャンクションピークから先は長いアップダウンの連続です。ぬかるんでいる場所が多く、思ったほどペースが上がりません。

ジャンクションピークから見た稜線の展望
ジャンクションピークからの展望
ジャンクションピーク先の登山道。ぬかるみが多い
稜線はぬかるみが多い

やがて正面にK1ピークと、その奥に霞沢岳が見えてきます。K1の直下はかなりの急登で、ここが体力的な山場でした。

奥に霞沢岳、手前にK1ピークを望む
手前がK1、奥が霞沢岳
K1ピーク直下の急登
K1直下はかなりの急登

9時50分、K1ピークに到着。霞沢岳方面はあいにくのガスで、展望は得られませんでした。

K1ピークの山頂
9時50分、K1ピーク
K1ピークからの展望。ガスがかかっている
K1からの展望はガスの中

K1ピーク〜霞沢岳山頂

K1からK2を経て霞沢岳へ続く稜線をたどります。10時30分、霞沢岳山頂に到着しました。

K1からK2を経て霞沢岳へ続く稜線
K1から霞沢岳への稜線
霞沢岳の山頂標識
10時30分、霞沢岳山頂

山頂部はそれほど広くありません。ガスが部分的に晴れて、八ヶ岳方面を見渡すことができました。下山の長さを考えて、休憩もほどほどに引き返します。

霞沢岳の山頂部。広くはないスペース
山頂は広くない
霞沢岳山頂からガスの晴れ間に見えた八ヶ岳方面
ガスが晴れて八ヶ岳方面が見えた
霞沢岳山頂から歩いてきた稜線を振り返る
山頂から来た道を振り返る
霞沢岳山頂付近からの展望。雲の切れ間に稜線が連なる
山頂付近からの展望

下り 霞沢岳〜徳本峠〜島々

下山にかかると、ガスの中から焼岳が姿を現しました。復路のK2ピーク付近では常念岳方面の展望も開けます。

下山中、ガスの中から姿を現した焼岳
下山にかかると焼岳が姿を見せた
復路のK2ピーク
復路のK2ピーク

稜線のぬかるみは復路も健在です。徳本峠まで戻れば、あとは長い下りが続きます。

下山時に見えた常念岳方面の展望
常念岳方面の展望
復路の稜線。ぬかるみが続く
復路もぬかるみが続く

峠から下は基本的に歩きやすい道ですが、鎖を使う場面や橋の通過が繰り返し出てきます

徳本峠から下る歩きやすい登山道
峠から下は歩きやすい
下山路にある鎖の付いた区間
鎖を使う場面もある

登りで分かりにくかった渡渉ポイントは、明るい下山時にははっきりと分かりました。結果として下りはスムーズに進み、17時55分に駐車場へ戻りました。

島々谷の下山路にかかる複数の橋
下部は橋が多い
島々谷を下る登山道
島々谷を下る

往復して特に気を使ったのは、長い行程のなかで何度も現れる渡渉と、暗い時間帯のルート確認でした。ここまでの体験を踏まえて、計画時に押さえておきたい点をまとめます。

  • 渡渉が非常に多い。沢を渡り返す場所が続き、濡れた木の橋も多い。暗い時間帯は渡渉ポイントを見失いやすく、実際に道を間違えた。夜間の通過に不安がある場合は、小屋泊も含め、渡渉区間を明るい時間帯に歩ける行程を検討する。出発だけを遅らせると下山も遅くなるため、行程全体で判断したい
  • 崩落地は通行止めで、迂回路(巻き道)を進む。今回はロープや目印を確認しながら通過できた。ただし、暗い時間帯は足元や進路を見落としやすい。通行状況は変わるので、最新の案内と現地の表示を確認する
  • 二俣のトイレは、今回の山行時には使用できなかった。登山口手前で済ませて出発したい。徳本峠小屋のトイレは、営業期間と通過登山者の利用条件を事前に確認する
  • 今回確認した水場は徳本峠直下で、水量は細かった。小屋での有料給水も、営業状況によって利用できるとは限らない。行動水は最初から十分に持つ
  • ジャンクションピーク〜K1は長いアップダウン。ぬかるみで足を取られ、思ったほどペースが上がらなかった
  • 島々〜徳本峠は長野県登山安全条例の「指定登山道」。登山計画書の提出が義務づけられている。島々宿登山口には登山ポストがないため、島々から出発する場合は事前にオンラインで提出しておく
  • 2025年9月30日に通行止めが解除されたルート。出発前に最新の道路・登山道情報を確認しておく

こうした渡渉や迂回路の状態は、雨の前後でも変わります。私が歩いた日の写真とあわせて、出発前には以下の公式案内も確認してください。長野県は落石・滑落に注意を呼びかけており、山小屋友交会では大雨やその直後の危険、ヘルメットが必要な箇所、島々〜徳本峠の携帯電話の不通についても案内しています。地図は現地で通信できないことを考えて、あらかじめ用意しておきたいところです。
長野県:島々明神線歩道の通行止め解除と注意事項
北アルプス山小屋友交会:徳本峠小屋・登山道の案内
徳本峠小屋 公式サイト施設・給水の案内

ここでは、夜間行動や沢沿いの歩き、長い下りで実際に使った装備を紹介します。使ってみて感じたことと、出発前に確認しておきたい点をあわせてまとめました。

夜間行動と濡れへの備え

ヘッドライト:このルートでは「あると安心」ではなく完全な必須装備です。徳本峠登山口を1時50分に出発して、日の出を迎えたのは岩魚留小屋に着いた5時25分ごろ。行動の最初の約3時間半はヘッドライト頼りで、しかも渡渉を繰り返しながら進む区間です。予備電池も含めて備えたい装備です。

これだけ長く照らし続けると、明るさとあわせてその明るさで何時間使えるかも気になります。深夜発を予定している方は、予備電源も含めて準備しておくと安心です。次の記事では使い方別に選び方をまとめているので、今回に近い「深夜発ロング」の項目を参考にしてください。

靴の撥水ケア:ライトで足元を照らしていても、渡渉では油断できませんでした。今回は岩を伝って進む途中で2度足を踏み外し、靴全体を水に浸けました。濡れた場所を繰り返し歩くので、出発前に靴の状態を確認し、素材に合う撥水ケアをしておきたいところです。ただし、撥水処理で抑えられるのは表面の濡れで、履き口からの浸水までは防げません。手入れをしていても、渡るときの足場と水量の判断は欠かせないと感じました。

水分:アクエリアス500ml×2本と水2.5リットルを持ち、下山時に残ったのは水500mlでした。約16時間の行動で、合計約3リットルを飲んだことになります。沢沿いを歩くルートですが、途中で確認した水場は水量が細かったため、補給を当てにしすぎない計画にしておきたいところです。徳本峠小屋では有料給水の案内もありますが、利用する場合は営業状況を事前に確認してください。必要な水の量は気温や歩く時間でも変わるので、今回の量は一例として参考にしてください。

あると安心だった装備

ゲイター:道自体はしっかりしていますが、登山道の幅が狭く、早朝は両側の草にたまった朝露の餌食になりやすいのがこのコースの特徴です。レインウェアを着るほどではないものの、ゲイターはあったほうが快適でした。徳本峠から先の道もぬかるみが多いので、泥除けの意味でも役に立ちます。

ストック:渡渉で足場を探るときに使ったほか、長い下りでも役立ちました。今回は累積下降量が3,255mに及ぶ行程だったので、脚だけに負担をかけずに下れるのがありがたいところです。

※ レインウェア・登山靴・地図やGPSなどの基本装備は、日帰り登山の標準セットなのでここでは省略します。

17時55分に駐車場へ戻り、この日は平湯まで移動してひらゆの森に入りました。下山が18時近くになると、温泉は距離だけでなく最終受付に間に合うかで選ぶ必要があります。近場で遅くまで受け付けている竜島温泉を中心に、早く下山できた場合の候補もあわせて紹介します。

竜島温泉 せせらぎの湯(登山口から最寄り)

登山口から国道158号を松本方面へ戻る途中にあります。21時まで受付があるので、下山が遅くなっても間に合うのが最大の利点です。

さわんど温泉 梓湖畔の湯(上高地方面)

登山口から上高地方面へ向かった沢渡にあります。最終入館が18時15分なので、早い時間に下山できたときの選択肢になります。

日帰り入浴 しもまき(沢渡)

こちらも沢渡にある、食事処の日帰り入浴です。地域の観光案内では入浴料600円・11時〜18時とされているので、梓湖畔の湯と同じく早めに下山した場合の候補になります。利用を考えている場合は、その日の営業状況を確認しておいてください。

ひらゆの森(今回利用・平湯温泉)

今回は下山後に安房峠を越えて平湯まで移動し、ひらゆの森を利用しました。登山口からは決して近くありませんが、そのまま岐阜側へ抜ける予定があるなら選択肢に入ります。

温泉施設利用シーン営業時間料金(大人)
竜島温泉 せせらぎの湯下山後(最寄り)10:00〜22:00(最終受付21:00/月曜休、祝日の場合は翌日休)620円
さわんど温泉 梓湖畔の湯早い時間に下山したとき10:00〜18:45(最終入館18:15/冬期は営業日限定)750円
日帰り入浴 しもまき早い下山時・営業要確認11:00〜18:00(不定休・時間は変動あり)600円
ひらゆの森岐阜側へ抜けるとき10:00〜21:00(最終受付20:30)700円

営業時間・料金の確認日:2026年9月16日。しもまきは地域観光サイトの掲載情報です。営業時間・料金・休業日は変わるため、出発前に各施設の公式情報や問い合わせ先で確認してください。

島々から徳本峠を越えて霞沢岳まで往復し、距離41.6km・のぼり3,257m・行動16時間3分。長く歩き続ける体力に加え、暗い時間帯の渡渉やルート確認にも気を使う一日でした。

その長い一日に備えるうえで役立ったのが、登山口まで約10分の道の駅 風穴の里で仮眠しておくことでした。近さを優先し、国道や大型車の音には耳栓で対応しました。
車で登山口近くまで入れる島々側は、出発時刻を決めやすいのが利点です。一方で、今回の行動時間は標準コースタイムを大きく下回っています。前泊場所とあわせて、自分の歩行ペースで無理のない行程になるかを確認し、必要に応じて小屋泊も検討してください。

この山行の要点

  • 前泊:道の駅 風穴の里(登山口まで約10分)。静かさより近さを取った。国道と大型車の音対策に耳栓は必須
  • コース:距離41.6km・のぼり3,257m。標準タイムの積み上げ24時間52分に対し、実測16時間3分(休憩51分込み)
  • 渡渉:沢を渡り返す箇所が連続する。暗い時間帯は渡渉点を見失いやすく、実際に道を間違えた。夜間の渡渉に不安がある場合は、小屋泊も含めて明るい時間帯に歩ける行程を検討する
  • :今回確認した徳本峠直下の水場は水量が細かった。小屋での有料給水は営業状況を要確認。今回は水2.5L+スポーツドリンク1Lを持ち、下山時の残りは500ml
  • 装備:ヘッドライト(最初の約3時間半)、靴の撥水ケア、ゲイター、ストック
  • 手続き:島々〜徳本峠は長野県登山安全条例の指定登山道。登山計画書の提出が義務

※ 本記事は筆者が実際に歩いた記録をもとにしていますが、登山道の状況や所要時間は季節・天候・体力によって大きく変わります。島々〜徳本峠は長野県登山安全条例の指定登山道で、登山計画書の提出が義務づけられています。最新の状況を必ず確認し、装備と行動時間に余裕を持って、ご自身の判断と責任で計画してください。

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