ニペソツ山(にぺそつやま・標高2,013m)は、北海道上士幌町にそびえる東大雪の最高峰で、日本二百名山のひとつです。鋭く尖った独特の山容から、深田久弥が「百名山に入れ忘れた山」と語ったとも伝えられる名峰です。
現在のメインルートである幌加温泉コースは往復23.5km・のぼり1,899m、標準コースタイムは13時間15分という、日帰りなら完全に健脚向けのロングコース。
この記事では、登山歴・車中泊歴10年のソロ登山者の視点で、ニペソツ山の登山口アクセスと駐車場・前泊に使える車中泊スポット・幌加温泉コースを往復した実体験・下山後に立ち寄れる日帰り温泉まで、まるごとお伝えします。

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ニペソツ山の基本情報
| 標高 | 2,013m(東大雪の最高峰) |
| 所在地 | 北海道河東郡上士幌町 |
| 山のリスト | 日本二百名山 |
| 難易度 | 上級(YAMAPコース定数48=「きつい」) |
| コースタイム目安 | 13時間15分(幌加温泉コース 往復) |
| 距離/累積標高 | 23.5km/のぼり1,899m・くだり1,898m |
| ベストシーズン | 7月上旬〜9月下旬 |
| 登山口 | ニペソツ山 幌加温泉コース登山口(上士幌町幌加) |
ニペソツ山はどんな山か
ニペソツ山の魅力は、なんといっても前天狗から先で一気に姿を現す、鋭く尖った山容です。樹林帯を延々と登ってきたあとに突然その全貌が目の前に広がるので、印象が強く残ります。
注意したいのが登山口の変遷です。長年メインだった十六の沢コースは2016年の台風で林道が崩壊して通行止めとなり、代わりに廃道化していた幌加温泉コースが整備され、2018年から使えるようになりました。古い情報を見て十六の沢へ向かわないよう気をつけてください。
ニペソツ山登山口へのアクセスと駐車場
登山口は幌加温泉の手前にある林道ゲートです。国道273号から幌加温泉方面へ入り、林道に進みます。
ゲート前には広い駐車場があり、仮設トイレも設置されています。



何時までに登山口へ着けばいいか
私は道の駅 かみしほろで4時に起床、4時30分に出発し、5時15分に駐車場着。歩き出したのは5時29分でした。
標準コースタイムは13時間15分。日帰りで往復するなら、遅くとも5時台には歩き出したいロングコースです。
ニペソツ山の前泊におすすめの車中泊スポット
ニペソツ山の登山口周辺には、車中泊に向いた施設がありません。現実的な選択肢は国道273号を南下した上士幌町の市街地になります。
【1】道の駅 かみしほろ(今回利用)
今回、私が実際に前泊したのがここです。登山口まで車で約45分と、早朝スタートの起点として扱いやすい位置にあります。
この道の駅はゴミ袋の販売・引き取りサービスとポータブル電源の充電サービスがあり、車中泊する人にかなり寛容です。静かに眠るなら、大型車駐車場から離れた対面のP2がおすすめでした。

実際に登ったコース体験記(幌加温泉コース 往復)
登りも下りも同じ幌加温泉コースを使った往復です。実測タイムと合わせて、区間ごとに振り返ります。
ルート全体図

ニペソツ山のコースタイム(標準・実測)
| 区間 | 標準コースタイム(累計) | 実測コースタイム(累計) |
|---|---|---|
| ニペソツ山登山口 | ― | 出発 5時29分 |
| 登山口 → 三条沼 | 2時間15分(累計 2:15) | 1時間23分(累計 1:23) |
| 三条沼 → 前天狗 | 3時間15分(累計 5:30) | 2時間09分(累計 3:34) |
| 前天狗 → 天狗岳 | 50分(累計 6:20) | 16分(累計 3:52) |
| 天狗岳 → ニペソツ山 | 1時間10分(累計 7:30) | 41分(累計 4:38) |
| ニペソツ山 → 登山口(下山) | 5時間45分(累計 13:15) | 4時間05分(累計 9:08) |
| ニペソツ山登山口 | ― | 下山 14時38分 |
標準タイムの合計は13時間15分、実測は9時間08分(休憩50分を含む)でした。
出発前夜〜当日朝
前夜は道の駅 かみしほろで車中泊。4時起床、4時30分に出発し、国道273号を北上して5時15分に駐車場着です。
登り① 林道歩き〜三条沼
まずは約2kmの林道歩きから。舗装されていない道を淡々と進みます。


林道が終わると、ここからが本格的な登山道です。ただし序盤は足元がドロドロの箇所が多く、泥まみれになるのは避けられません。スパッツがあると気が楽です。


6時52分、三条沼を通過。ここまで1時間23分でした。

登り② 樹林帯の急登〜展望地点
三条沼を過ぎると急登が始まります。長い樹林帯をひたすら登り続ける、精神的にもきつい区間です。
7時56分、樹林を抜けて視界が一気に開ける展望地点に到着。ここで初めてニペソツ山の姿が見えました。ここまでの登りが報われる瞬間です。


展望地点からいったん再び樹林帯へ。振り返ると大雪山系の山並みも見えていました。


そして、ニペソツ山が全貌を現します。

登り③ ロープ場〜前天狗(コース最大の難所)
前天狗が近づくとロープ場が何カ所か続きます。さらにガレ場の登りが重なり、消耗する区間です。


とくに前天狗の直前にある、ロープ付きの急登がこのコース一番の難所でした。とにかく滑りやすく、慎重に足を置いていくしかありません。


9時03分、前天狗に到着。ちょうどこのタイミングで急にガスが出てきました。テント場にはコマクサが咲いていて、ここだけは穏やかな雰囲気でした。

稜線 天狗岳〜ニペソツ山
前天狗から天狗岳へはガレ場の稜線を進みます。9時21分に天狗岳を通過。


ここからが正念場で、天狗岳からニペソツ山の山頂までは約300mの登り返しがあります。ここまでの疲労もあって、この登り返しがとにかくきつい。


10時07分、ニペソツ山の山頂に到着。出発から4時間38分でした。
ところが山頂はガスの中で、展望はまったくありませんでした。東大雪の大パノラマを楽しみにしていただけに、これは残念。こればかりは巡り合わせです。

下り 往路を戻って登山口へ
10時33分に山頂を出発し、往路をそのまま戻ります。天狗岳から前天狗へのガレ場は、下りのほうが神経を使いました。


14時38分に下山完了。合計9時間08分、23.5kmの行程でした。
ニペソツ山(幌加温泉コース)で気をつけたいポイント
実際に歩いてみて、事前に知っておきたかったと感じた点をまとめます。
- 登山口が変わっている:十六の沢コースは林道崩壊で通行止め。現在は幌加温泉コース。古い情報に注意
- 林道ゲート往復4km:ゲートから約2kmの林道歩きが往復で加算される。自転車を利用して時間短縮するのも一手
- 序盤は泥だらけ:足元がドロドロの区間が多く、泥まみれになるのは前提。スパッツ推奨
- 前天狗直前のロープ場が最大の難所:急なうえに非常に滑りやすい。ここだけは慎重に
- 天狗岳からの約300mの登り返し:後半で効いてくる。体力を残しておく
- 往復23.5kmのロングコース:標準13時間15分。日帰りなら前泊して早朝スタートが前提
実際に使った装備
一般的な装備リストではなく、私がこの山で実際に使ったものだけを紹介します。
必須装備
熊鈴(2つ):東大雪はヒグマの生息域です。熊鈴はリュックの前と後ろに1つずつ、計2つ付けて、前方と後方の両方に音が散るようにしています。あえて音色の違うものを2つ使い、複数人で歩いているように聞かせるのが狙いです。
あわせて、ラジオの代わりにYouTubeで推しの動画をバックグラウンド再生しながら歩いています。鈴とは違う「人の声」が出続けるので、音の種類を増やすという意味でも効いていると感じています。
あると安心だった装備
ストック:往復23.5kmのロングコースでは、下りの膝への負担がまるで違います。とくに前天狗まわりのガレ場では安定感が段違いだったので、このコースでは必携に近い装備です。

ニペソツ山の登山口周辺で立ち寄れる日帰り温泉
今回は立ち寄っていませんが、ニペソツ山は登山口のすぐ手前に温泉があるという、ありがたい立地です。参考として、登山口から向かえる施設をまとめておきます。
| 温泉施設 | 登山口からの位置 | 営業時間 | 料金(大人) |
|---|---|---|---|
| 幌加温泉 湯元 鹿の谷 (最寄り) | 登山口のすぐ手前 | 9:00〜18:00(不定休) | 600円 |
| 糠平温泉ホテル (ぬかびら源泉郷) | 国道273号を南下 | 11:00〜19:00(無休) | 700円 |
| ぬかびら源泉郷 湯元館 | 国道273号を南下 | 13:00〜19:00(火・水・木休) | 1,000円 |
| 上士幌町健康増進センター ふれあいプラザ | 前泊した道の駅 かみしほろから車で3分 | 平日14:00〜22:00/土日祝13:00〜22:00 (第1・第3月曜休) | 300円 |
最寄りの「幌加温泉 湯元 鹿の谷」は18時までなので、日帰りで下りてきたその足で寄れます。源泉かけ流しの一軒宿で、駐車場が6台と小さいのと、不定休である点だけ注意してください。
前泊地まで戻るなら、「ふれあいプラザ」が大人300円と圧倒的に安いので、翌日の移動に合わせて使い分けるのがよさそうです。
まとめ|ニペソツ山は前泊必須の東大雪の盟主
ニペソツ山は、往復23.5km・標準13時間15分という数字が示すとおり、日帰りなら前泊とセットでしか成立しないロングコースです。
コースの構成もはっきりしていて、長い樹林帯の登り → 展望地点で一気に開ける → ロープ場とガレ場の急登 → 天狗岳からの300mの登り返しと、後半に難所が集中します。前半で消耗しないペース配分が鍵です。
今回は山頂でガスに当たってしまいましたが、展望地点でニペソツ山の全貌が現れた瞬間だけでも登った価値がありました。次は晴れた日にもう一度訪れたい山です。
※ 本記事は筆者の登山時点での体験・情報をもとにしています。登山道・林道・駐車場・施設の状況は変わることがあります(とくにこの山は登山口自体が変わった経緯があります)。入山前に最新情報(自治体・山小屋・YAMAP等)を必ず確認し、天候・体力に応じた無理のない計画で、自己責任のもと安全な登山をお楽しみください。単独行の場合は、登山届の提出と行動予定の共有も忘れずに。
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