夕張岳(ゆうばりだけ・標高1,668m)は、北海道の夕張市と空知郡南富良野町にまたがる日本二百名山です。花の百名山にも選ばれており、ユウバリソウをはじめ600種を超える植物が確認されている、道内でも屈指の「花の山」として知られています。
コースは往復13.1km・のぼり1,217m、標準コースタイムは9時間10分。距離こそ極端に長くはありませんが、登山口までの林道が悪路で、そこに時間を取られます。
この記事では、登山歴・車中泊歴10年のソロ登山者の視点で、夕張岳の登山口アクセスと駐車場・前泊に使える車中泊スポット・馬の背コースと冷水コースを歩き比べた実体験・下山後の温泉事情まで、まるごとお伝えします。

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夕張岳の基本情報
| 標高 | 1,668m |
| 所在地 | 北海道 夕張市・空知郡南富良野町 |
| 山のリスト | 日本二百名山/花の百名山/北海道百名山 |
| 難易度 | 中級(YAMAPコース定数30=「きつい」) |
| コースタイム目安 | 9時間10分(馬の背コース登り・冷水コース下り) |
| 距離/累積標高 | 13.1km/のぼり1,217m・くだり1,215m |
| ベストシーズン | 6月下旬〜9月下旬(花期は6〜7月) |
| 登山口 | 夕張岳登山口(夕張岳ヒュッテ) |
夕張岳はどんな山か
夕張岳の魅力は、山頂まで飽きさせない変化の多さです。樹林帯の急登から始まり、望岳台で一気に展望が開け、そのあとは湿原の木道歩き。そして山頂では360度の展望が待っています。
600種を超える植物が確認され、ユウバリソウやユウパリコザクラといったこの山にしかない固有種が見られるのも大きな特徴です。蛇紋岩の崩壊地という特殊な地質が、この植生を支えています。
登りは馬の背コース、下りは冷水コース
登山口から500mほど進んだところで、尾根沿いの「馬の背コース」と沢沿いの「冷水コース」に分かれ、途中で再び合流します。今回は登りに馬の背コース、下りに冷水コースを使いました。
先に結論を書いておくと、マダニが気になる人は往復とも冷水コースがおすすめです。理由は体験記のほうで詳しく書きます。
夕張岳登山口へのアクセスと駐車場
登山口は夕張岳ヒュッテのある林道の終点です。ここへ向かう林道が、この山のいちばんの関門でした。
登山口までの最終約9km区間が未舗装で、陥没している箇所が多いデコボコ道です。かなりの悪路なので、スピードを出せません。時間には十分な余裕をみておいてください。
駐車場自体は広く、停められる台数に余裕があります。駐車場から少し進んだところに靴洗い場が設置されているのもありがたいポイントでした。



何時までに登山口へ着けばいいか
私は道の駅 あびらで4時に起床、4時30分に出発し、5時45分に登山口着。歩き出したのは5時58分でした。
標準コースタイムは9時間10分。日帰りなら8時台には歩き出したいところです。林道の9kmが想像以上に時間を食うので、そこを見込むと前泊が現実的な選択になります。
夕張岳の前泊におすすめの車中泊スポット
夕張岳の登山口周辺には車中泊に向いた施設がありません。現実的な選択肢は、夕張市街まで下りた道の駅か、道東自動車道沿いまで出たエリアの道の駅になります。
【1】道の駅 あびら D51ステーション(今回利用)
今回、私が実際に前泊したのがここです。登山口まで車で約1時間15分。少し距離はありますが、設備が整っていて過ごしやすい道の駅です。
国道の夜間交通量は少なく走行音は問題になりませんが、上空を通る飛行機の音があるので耳栓はあったほうが安心でした。

【2】道の駅 夕張メロード
登山口までは車で約45分。あびらより30分ほど近く、距離だけを見れば夕張岳の前泊にはこちらが有利です。
ただし夜間は道の駅のトイレが利用できません。前泊で使うとなるとトイレの確保が課題になるため、利便性という点ではいまいち。近さを取るか、設備の使いやすさを取るかで選ぶことになります。
結論として、今回私は設備の整った道の駅 あびらを選びました。登山口までは約1時間15分と少し遠いものの、夜間もトイレが使える安心感が決め手です。とにかく登山口に近づけたいならメロードですが、夜間トイレが使えない点はやはり大きいので、迷ったら設備の使いやすいあびらをおすすめします。
実際に登ったコース体験記(馬の背コース登り・冷水コース下り)
登りに馬の背コース、下りに冷水コースを使った周回に近いルートです。実測タイムと合わせて、区間ごとに振り返ります。
ルート全体図

夕張岳のコースタイム(標準・実測)
| 区間 | 標準コースタイム(累計) | 実測コースタイム(累計) |
|---|---|---|
| 夕張岳登山口 | ― | 出発 5時58分 |
| 登山口 → 夕張岳ヒュッテ | 25分(累計 0:25) | 12分(累計 0:12) |
| 夕張岳ヒュッテ → 望岳台 | 2時間20分(累計 2:45) | 1時間20分(累計 1:32) |
| 望岳台 → 夕張岳 | 2時間35分(累計 5:20) | 1時間19分(累計 2:51) |
| 夕張岳 → 望岳台 | 1時間55分(累計 7:15) | 1時間23分(累計 4:14) |
| 望岳台 → 登山口 | 1時間55分(累計 9:10) | 1時間14分(累計 5:28) |
| 夕張岳登山口 | ― | 下山 11時26分 |
標準タイムの合計は9時間10分、実測は5時間28分でした。なお「夕張岳 → 望岳台」の実測には、山頂での休憩22分が含まれます。
出発前夜〜当日朝
前夜は道の駅 あびら D51ステーションで車中泊。4時起床、4時30分に出発し、悪路の林道9kmを走って5時45分に登山口着です。
登り① 分岐から馬の背コースへ
5時58分にスタート。歩き出してすぐ、馬の背コースと冷水コースの分岐が現れます。今回は登りに馬の背コースを選びました。


分岐のすぐ先に夕張岳ヒュッテがあります。ここが実質的な登山口です。


登り② 急登と笹薮の馬の背コース
馬の背コースは序盤から急登が続きます。尾根に取り付くまで、休める場所があまりありません。
そしてこのコースでやっかいだったのが笹薮です。生い茂っている場所が多く、手でかき分けて進む必要のある場面が何度もありました。
夕張岳はマダニが多い山として知られています。私はなるべく草木に触れないように歩きましたが、馬の背コースではそれが難しい場面が続きました。


6時41分ごろ、一の越を通過します。

登り③ 合流点〜ロープ場〜望岳台
7時03分、冷水コースとの合流地点に到着。ここから登山道の雰囲気が変わります。


合流点から先には足元が切れ落ちた岩場(ロープあり)があり、ここは慎重に通過したい区間です。

7時30分、望岳台に到着。展望の良い休憩スポットで、ここまでで一番展望が開ける場所でした。


望岳台から先は、ぐっと見晴らしが利くようになります。目指す夕張岳も見えてきました。


登り④ 湿原の木道〜山頂
さらに進むと湿原に入り、ここからは気持ちのいい木道歩きになります。ここまでの急登と笹薮が嘘のような、この山でいちばん心地よい区間でした。


湿原まわりは展望もよく、山頂へ続く稜線が見渡せます。


途中には水場もありました(水量はちょろちょろ程度)。


山頂 360度の展望
8時49分、夕張岳の山頂に到着。出発から2時間51分でした。
この日は360度の展望。幌尻岳方面、ニペソツ山方面、芦別岳方面と、北海道の名峰がぐるりと見渡せました。



ちなみに、この日に見えていたニペソツ山にも登っています。

下り 冷水コースは歩きやすい
9時11分に山頂を出発し、下りは合流点から冷水コースへ。
これが正解でした。冷水コースは道が広く、笹薮をかき分ける場面が一度も出てきません。同じ山とは思えないほど歩きやすい道です。水場もあります。


マダニが心配な人は、断然こちらのコースがおすすめです。往復とも冷水コースでいいと思います。

11時26分に下山完了。合計5時間28分の行程でした。
夕張岳で気をつけたいポイント
実際に歩いてみて、事前に知っておきたかったと感じた点をまとめます。
- 登山口までの林道が悪路:最終約9kmが未舗装で陥没箇所が多い。時間に余裕を持つ
- マダニが多い山:草木に触れないよう意識して歩く。下山後の確認も忘れずに
- 馬の背コースは笹薮が多い:手でかき分ける場面が何度もある。マダニ対策なら冷水コースが断然おすすめ
- 馬の背コースは序盤から急登:休める場所が少ないので、ペース配分に注意
- 合流点から先のロープ場:足元が切れ落ちている。ここは慎重に
- 湿原の木道は登山道の保護区間:貴重な植生が広がるエリア。木道から外れない
- 下山後の温泉が近くにない:夕張市内の日帰り入浴施設は閉館が続いている(後述)
実際に使った装備
一般的な装備リストではなく、私がこの山で実際に使ったものだけを紹介します。
必須装備
熊鈴(2つ):夕張岳もヒグマの生息域です。熊鈴はリュックの前と後ろに1つずつ、計2つ付けています。前方と後方の両方に音が散るようにするためです。しかもあえて音色の違うものを2つ使い、複数人で歩いているように聞かせるのが狙いです。
あわせて、ラジオの代わりにYouTubeで推しの動画をバックグラウンド再生しながら歩いています。鈴とは違う「人の声」が出続けるので、音の種類を増やすという意味でも効いていると感じています。
熊スプレー:音で存在を知らせるのはあくまで「出会わないため」の対策なので、それでも遭遇してしまった場合に備えて熊スプレーも常備しています。すぐ取り出せる位置に付けておかないと意味がないので、装着場所も含めて習慣にしています。
あると安心だった装備
ストック:馬の背コースの急登と、冷水コースの下りの両方で使いました。とくに下りで膝への負担がまるで違います。

マダニ対策:皮膚の部分を極力少なくするのが対策の基本。長袖はモンベルのクールパーカを着用しています。さらに虫よけを徹底し、万が一マダニに嚙まれた場合に備えて、マダニを除去する道具(ティックツイスター)を持ち運んでいます。
夕張岳の下山後に立ち寄れる日帰り温泉
今回は立ち寄っていませんが、この山は温泉事情に注意が必要です。夕張市内の日帰り入浴施設は、「ユーパロの湯」が2017年に、「夕鹿の湯」が2015年に閉館しており、登山口から近い場所に日帰り温泉がありません。
現実的なのは、夕張市街まで下りて市営の浴場を使うか、三笠市の桂沢方面まで足を延ばすかの2択です。参考として、登山口から向かえる施設をまとめておきます。
| 温泉施設 | 夕張岳駐車場から | 営業時間 | 料金(大人) |
|---|---|---|---|
| 夕張市リフレッシュセンター清陵 清陵浴場 (最寄り) | 約35分 | 16:00〜20:30 (月〜土・日曜休) | 500円 |
| 真谷地浴場 | 約40分 | 15:30〜20:00 (月・水・金のみ) | 500円 |
| 湯の元温泉旅館 (三笠市桂沢) | 約50分 | 10:00〜20:00(最終受付19:30) 6〜9月は10:00〜21:00(最終受付20:30) | 600円 |
注意したいのは、最寄りの清陵浴場が16時開店という点です。今回のように午前中に下山すると、まだ開いていません。その点「湯の元温泉旅館」は10時から入れるので、早い時間に下りてきたときに使えるのはここになります。なお真谷地浴場は月・水・金のみの営業なので、曜日の確認が必要です。
まとめ|夕張岳は林道と笹薮を越えて登る花の名山
夕張岳は、標準9時間10分・往復13.1kmと数字だけ見れば手が届きやすい山ですが、実際のハードルは登山口までの悪路9kmにあります。ここを見込むと、前泊とセットで組むのが現実的です。
コースは樹林帯の急登 → 望岳台の展望 → 湿原の木道 → 360度の山頂と変化に富み、歩いていて飽きません。この日は展望にも恵まれ、幌尻岳・ニペソツ山・芦別岳まで見渡すことができました。
唯一の注意点はマダニと笹薮です。馬の背コースは笹をかき分ける場面が多く、冷水コースは道が広くて笹薮がありません。この差はかなり大きいので、気になる方は往復とも冷水コースを選んでください。
なお、登山道の状況や施設の営業情報は変わることがあります。とくにこの山は林道の状態と温泉の閉館状況に注意が必要なので、最新の情報を確認してから出発してください。単独行の場合は、登山届の提出と行動予定の共有も忘れずに。
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