【鳥海山】車中泊前泊で登る日帰り登山ガイド|矢島口(祓川)から新山へ・秋田

康新道の途中から見上げた鳥海山

秋田県と山形県の県境にそびえる鳥海山(ちょうかいさん・標高2,236m)は、日本百名山・花の百名山に数えられる東北屈指の独立峰です。日本海のすぐそばから一気に立ち上がる山容から「出羽富士」とも呼ばれ、山頂部は外輪山の最高点・七高山(2,229m)と、最高峰の新山(2,236m)に分かれています。

秋田県側の矢島口(祓川)から登るコースは、距離10.5km・のぼり約1,220m。登山口の標高が約1,180mと高く山頂部まで最短で登れる一方、後半は舎利坂の急登とザレ場が続く、コース定数27の「きつい」ルートです。朝のうちに歩き出したいので、私は前夜に道の駅で車中泊しました。

この記事では、登山歴・車中泊歴10年のソロ登山者の視点で、鳥海山の登り方・前泊できる車中泊スポット・コース体験記・下山後の温泉までまとめています。

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目次
標高2,236m(新山)/七高山 2,229m
所在地秋田県・山形県(県境)
山のリスト日本百名山・花の百名山
難易度中級〜上級(急登・ザレ場あり)
コースタイム目安標準 約7時間48分(矢島口から新山まで・康新道で下山)
距離・累積標高約10.5km / のぼり約1,220m
ベストシーズン7月〜10月(残雪期・積雪期は除く)

鳥海山のキャラクター

山頂部は、火口を囲む外輪山と、その内側にそびえる新山の溶岩ドームからなります。矢島口から登ると最初に着くのは外輪山の最高点・七高山で、最高峰の新山へは外輪山をいったん下ってから岩場を登り返します。樹林帯を抜けるのが早く、8合目の分岐を過ぎると一気に展望が開けるのがこのコースの魅力です。

登山口は矢島口(祓川)。由利本荘市矢島町から山道を上った先にあり、駐車場のすぐ横に祓川ヒュッテと登山口があります。

駐車場は舗装された広い区画で、道路に近い区画は一部に傾斜があります。公衆トイレがあり、個室は和式のみ。手洗いはトイレの中にあります。駐車場の横には、下山後に使える靴洗い場もあります。自然湧水を引いた水道で、飲用は避けるよう看板に書かれています。

矢島口駐車場(祓川)の公衆トイレ
駐車場の公衆トイレ
矢島口駐車場と、奥にそびえる鳥海山
矢島口駐車場。奥に鳥海山
祓川の公衆トイレの個室(和式)
トイレの個室は和式のみ
祓川の公衆トイレ内の手洗い場
手洗いはトイレの中にある
登山口側から見た矢島口駐車場
登山口側から見た駐車場
トイレ側から見た矢島口駐車場
トイレ側の区画
矢島口駐車場の横にある靴洗い場
下山後に使える靴洗い場

携帯の電波は安定しません。一瞬つながることはありますが圏外のことが多く、キャリアを問わず同じでした。登山計画や地図は、出発前にダウンロードしておきましょう。

何時までに着くか

車中泊した道の駅 象潟「ねむの丘」を5時20分に出発し、6時10分に駐車場へ到着、6時23分に歩き始めました。標準コースタイムは新山まで往復して約7時間48分。休憩を含めると、遅くとも7時前には歩き出したいコースです。

矢島口の周辺で前泊できる車中泊スポットを3か所紹介します。結論を先にいうと、総合的には道の駅 象潟「ねむの丘」が一番のおすすめです。

【1】道の駅 象潟「ねむの丘」(今回利用・総合おすすめ)

今回、私が実際に車中泊したのはここ。矢島口までは約29km・車で42分です。国道7号沿いで走行音が届く区画もありますが、「にかほっと」横・ガソリンスタンド裏の奥の駐車場を選べば静かに過ごせます。4階に展望温泉「眺海の湯」があり、前夜に汗を流せるのも車中泊の拠点として心強いポイントです。

【2】道の駅 清水の里・鳥海郷(国道108号側からのアクセス)

由利本荘市鳥海町、国道108号沿いの道の駅。矢島口までは約34km・車で44分と、象潟とほぼ同じ距離です。湯沢・横手など内陸側から向かうときの途中泊に使いやすい位置にあります。

【3】道の駅 にしめ(国道7号・本荘側からのアクセス)

由利本荘市西目町、国道7号沿いの道の駅。矢島口までは約39km・車で52分。秋田市方面から国道7号を南下してくる場合の途中泊に使えます。

3か所を比べると距離はほぼ横並びです。静かに眠れる区画と温泉がそろっている点で、私の総合おすすめは道の駅 象潟「ねむの丘」です。

登山日:2026年9月23日。矢島口(祓川)を起点に、登りは旧道(舎利坂)、下りは康新道を使い、七高山から最高峰の新山まで往復しました。

ルート全体図(矢島口・祓川起点)

鳥海山 矢島口から旧道で登り康新道で下るルート全体図(地理院タイルにGPX軌跡を重ねた自作地図)
矢島口(祓川)を起点に、旧道で登り康新道で下ったルート

鳥海山のコースタイム(標準・実測)

区間標準コースタイム(累計)実測コースタイム(累計)
駐車場(出発 6時23分)——
→ 七ッ釜避難小屋1時間30分(累計 1:30)58分(累計 0:58)
→ 氷ノ薬師(旧道)1時間5分(累計 2:35)46分(累計 1:44)
→ 七高山(舎利坂)58分(累計 3:33)43分(累計 2:27)
→ 新山45分(累計 4:18)21分(累計 2:48)
→ 七高山(戻り)40分(累計 4:58)30分(累計 3:18)
→ 七ッ釜避難小屋(康新道)1時間40分(累計 6:38)1時間23分(累計 4:41)
→ 駐車場(下山 11時48分)1時間10分(累計 7:48)44分(累計 5:25)
合計約7時間48分5時間25分(休憩41分込み)

標準コースタイムは、旧道の区間がYAMAPのモデルコース「祓川神社-七高山 往復コース」の値、新山への往復と康新道の下りは矢島口の標準タイムの値です。

出発前夜〜当日朝

前夜は道の駅 象潟「ねむの丘」で車中泊。4時半に起床して5時20分に出発し、6時10分に矢島口の駐車場へ着きました。身支度をして、6時23分に歩き始めています。

登り①:祓川〜竜ヶ原湿原〜七ッ釜避難小屋

登山口からすぐに竜ヶ原湿原。湿原の向こうに鳥海山がそびえ、湿原越しに見る山容はこのコースの見どころのひとつです。

登山口にある祓川ヒュッテ
登山口の祓川ヒュッテ
竜ヶ原湿原越しに見る鳥海山
竜ヶ原湿原越しの鳥海山

序盤は石を敷いた階段状の道で歩きやすく、樹林帯の中で少しずつ高度を上げていきます。6時58分に賽の河原を通過し、7時21分に七ッ釜避難小屋付近に着きました。小屋はルート上から少し外れたところにあります。

序盤の石段状の登山道
序盤は石の階段で歩きやすい
賽ノ河原付近の登山道
賽の河原
賽ノ河原から見た展望
賽の河原からの展望
七ッ釜避難小屋の先にある康ケルン
避難小屋近くにそびえる康ケルン

登り②:8合目の分岐〜氷ノ薬師(旧道)

7時27分、8合目の分岐に到着。ここで旧道と康新道に分かれます。今回は登りに旧道を使いました。分岐までは樹林帯ですが、ここから先は一気に展望が開けます。

8合目の分岐標(旧道と康新道の分かれ道)
8合目の分岐。登りは旧道へ
8合目の分岐から先の開けた登山道
分岐から先は一気に展望が開ける

高度を上げるにつれて大きな岩が増え、岩場も混じるようになります。8時7分、9合目の氷ノ薬師に到着しました。

大きな岩が増えてくる旧道の登山道
大きな岩が増えてくる
氷ノ薬師の手前の岩場
氷ノ薬師の手前の岩場
9合目の氷ノ薬師
氷ノ薬師(9合目)

登り③:舎利坂〜七高山

氷ノ薬師から先はさらに急登。道が石畳になっていて歩きやすい部分もありますが、舎利坂の中間地点からは溶岩のような石が多く、非常にザレています。

氷ノ薬師から先の急登
氷ノ薬師から先はさらに急登
七高山へ続く舎利坂の急登
舎利坂の急登

振り返ると、山肌が色づき始めていました。七高山の直下まで続くこのザレた区間が、今回のコースで一番の難所でした。

舎利坂から振り返った色づき始めの山肌
振り返ると紅葉が始まっていた
七高山直下の最後の登り
七高山直下の最後の登り
七高山直下のザレた斜面
一番の難所だったザレ場

七高山 山頂

8時50分、外輪山の最高点・七高山(2,229m)に到着。全方位が晴れていて、岩手山や早池峰山、栗駒山まで見渡せました。

七高山の山頂
七高山(2,229m)
七高山から見た新山
七高山から見た新山
七高山の山頂の様子
七高山の山頂
七高山から見た岩手山方面の展望
岩手山方面
七高山から見た早池峰山方面の展望
早池峰山方面
七高山から見た栗駒山方面の展望
栗駒山方面

外輪山〜新山(最高峰)

七高山からは外輪山の稜線をたどり、最高峰の新山へ向かいます。いったん外輪山から下り、御室小屋のあたりから新山の岩場を登り返します。

七高山から新山へ向かう外輪山の稜線
外輪山の稜線
外輪山から見た新山の岩峰
新山の岩峰
外輪山から下って新山へ登り返す道
いったん下って新山へ登り返す
新山の直下にある御室小屋
御室小屋

岩場を登り切ると、鳥海山の最高峰・新山(2,236m)。山頂部は非常にせまく、登山者が次から次に登ってくるため長居はできません。

鳥海山の最高峰・新山の山頂
新山(2,236m)
新山山頂から見た外輪山(七高山方面)
新山から外輪山を望む
新山山頂からの展望
新山山頂からの展望
下から見上げた新山の岩峰
新山を見上げる

新山から七高山へ戻って小休止し、下山を開始しました。

下り(康新道)

下りは康新道を使いました。崖沿いを歩く区間が多く、眼下に日本海を眺めながら下れるのがこの道の魅力です。登りの舎利坂のような滑りやすいザレ場はなく、歩きやすい道が続きます。

七高山から康新道を下る
下りは康新道へ
崖沿いを進む康新道
崖沿いを進む康新道
康新道から振り返って見た鳥海山
振り返って鳥海山
康新道から眼下に望む日本海
眼下に日本海を望む

11時4分に七ッ釜避難小屋へ戻り、そこからは往路と同じ道で、11時48分に駐車場へ下山しました。

今回のコースで特に気をつけたいのは、次の4点です。

  • 舎利坂のザレ場:舎利坂中間地点から七高山の直下まで、溶岩のような石が多く非常にザレています。今回のコースで一番の難所。浮き石に注意し、下りで使う場合はとくに慎重に
  • 新山の岩場とせまい山頂:外輪山からいったん下って岩場を登り返します。山頂はせまく、混雑時は譲り合いが必要です
  • 8合目の分岐:ここで旧道(舎利坂)と康新道に分かれます。登り・下りでどちらを使うか、あらかじめ決めておきましょう
  • 電波が不安定:駐車場から圏外のことが多く、キャリアを問わず同じでした。地図アプリはオフラインで使えるようにしておきます

今回は下山後に温泉へ立ち寄っていませんが、矢島口から車で20分ほどの猿倉温泉に、日帰り入浴のできる施設が2つあります。車中泊した道の駅 象潟「ねむの丘」にも展望温泉があるので、前夜に汗を流すならこちらも使えます。

温泉施設矢島口からの距離営業時間料金(大人)
ホテル フォレスタ鳥海(最寄り)10.8km/車17分10:00〜20:00600円
猿倉温泉 鳥海荘12.8km/車20分7:00〜21:00/第1月曜休400円
展望温泉 眺海の湯(道の駅 象潟「ねむの丘」)29.4km/車42分9:00〜21:00(受付20:30まで)/12月〜は9:00〜20:00/第3月曜休(7・8月を除く)90分450円/1日600円

営業時間や休業日は変わることがあるので、出発前に各施設の公式情報で確認してください。

鳥海山の矢島口コースは、登山口の標高が高く、山頂部まで最短で登れるルートです。8合目の分岐から先は展望が開け、七高山からは東北の山々を、康新道からは日本海を見渡せます。

  • 前泊の車中泊スポット:総合おすすめは道の駅 象潟「ねむの丘」(矢島口まで約29km・車42分)
  • コース:距離約10.5km・のぼり約1,220m。舎利坂のザレ場が核心
  • ルート:登りは旧道(舎利坂)、下りは日本海を望む康新道
  • 展望:七高山から岩手山・早池峰山・栗駒山、康新道から日本海

※ 本記事は筆者の登山時点での体験・情報をもとにしています。登山道・駐車場・施設の状況は変わることがあります。入山前に最新情報(自治体・山小屋・登山口の掲示など)を必ずご確認ください。

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