天塩岳(てしおだけ・標高1,558m)は、北海道の士別市と紋別郡滝上町にまたがる日本二百名山です。北見山地の最高峰で、利尻山を除けば道北でもっとも高い山にあたります。
登山口の天塩岳ヒュッテは、道道101号から未舗装の林道を約9km入った奥。周回で距離13.0km・のぼり1,114m、標準コースタイムは7時間25分のルートです。
この記事では、登山歴・車中泊歴10年のソロ登山者の視点で、天塩岳の登山口アクセスと駐車場・前泊に使える車中泊スポット・新道コースから前天塩岳へ周回した実体験・下山後に立ち寄れる日帰り温泉まで、まるごとお伝えします。

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天塩岳の基本情報
| 標高 | 1,558m |
| 所在地 | 北海道 士別市・紋別郡滝上町 |
| 山のリスト | 日本二百名山/北海道百名山 |
| 難易度 | 中級(YAMAPコース定数28=「きつい」) |
| コースタイム目安 | 7時間25分(新道コース→天塩岳→前天塩岳 周回) |
| 距離/累積標高 | 13.0km/のぼり1,114m・くだり1,116m |
| ベストシーズン | 6月下旬〜10月中旬(紅葉は9月中旬〜10月中旬) |
| 登山口 | 天塩岳ヒュッテ(標高765m・士別市朝日町茂志利) |
天塩岳はどんな山か
天塩岳の魅力は、周囲に高い山がないぶん、稜線に出たときの視界の広さにあります。樹林帯を抜けてハイマツ帯に変わった瞬間に景色が一変するのが、この山のいちばんの見どころです。
山頂を中心に天塩岳(1,558m)・前天塩岳(1,534m)・天塩円山(1,433m)の3つのピークが連なっており、これらを結ぶ周回コースが定番のルートになっています。一帯は天塩岳道立自然公園に指定されています。
天塩岳登山口へのアクセスと駐車場
登山口は天塩岳ヒュッテです。旭川紋別自動車道の愛別ICから道道101号に入り、天塩川沿いに進みます。ポンテシオ湖で舗装路は終わり、その先はダートが約9km続いた行き止まりが登山口です。
実際に走ってみた印象では、陥没や落石は少なめで、極端に荒れた林道ではありませんでした。ただし離合できる場所が少ないので、対向車が来たときのことを考えると、時間には余裕を持っておきたいところです。
林道の突き当たりが登山口です。駐車場は野営場(キャンプ場)全体が駐車スペースとして使えますが、登山者の多くはヒュッテ横の登山口前に停めています。私が着いた5時30分の時点でも、すでに何台か停まっていました。


駐車場にはトイレがあります。ただし和式の汲み取り式で水洗ではありません。苦手な方は、道の駅で済ませてから向かうことをおすすめします。

何時までに登山口へ着けばいいか
私は道の駅 とうまを4時30分に出発し、5時30分に駐車場着。移動にちょうど1時間かかりました。準備を整えて歩き出したのは6時06分です。
標準コースタイムが7時間25分あるので、日帰りなら遅くとも8時台には歩き出したいところ。林道の9kmは思ったより時間を食うので、逆算すると前泊が現実的な選択になります。
天塩岳の前泊におすすめの車中泊スポット
天塩岳の登山口周辺には、車中泊に向いた施設がほとんどありません。現実的な選択肢は、愛別IC方面まで戻ったエリアの道の駅になります。
【1】道の駅 とうま(今回利用)
今回、私が実際に前泊したのがここです。登山口まで車で約1時間と、天塩岳へ向かうには扱いやすい位置にあります。
街灯が多くて夜も明るく、コンビニがすぐ近くにあるので買い出しにも困りません。一方で国道39号が近く、夜間も大型車が通るため、耳栓は必須です。詳しくは道の駅単体のレポートにまとめています。

なお登山口の天塩岳ヒュッテは予約不要の無人小屋で、前にはトイレ・水場のある野営場があります。テント泊や小屋泊まりで前夜入りするなら、こちらを起点にする手もあります。
実際に登ったコース体験記(新道コース→天塩岳→前天塩岳 周回)
今回は登りに新道コース、下りに前天塩岳コースを使った周回です。実測タイムと合わせて、区間ごとに振り返ります。
ルート全体図

天塩岳のコースタイム(標準・実測)
| 区間 | 標準コースタイム(累計) | 実測コースタイム(累計) |
|---|---|---|
| 天塩岳登山口 | ― | 出発 6時06分 |
| 登山口 → 天塩円山 | 2時間50分(累計 2:50) | 1時間31分(累計 1:31) |
| 天塩円山 → 避難小屋 | 15分(累計 3:05) | 9分(累計 1:52) |
| 避難小屋 → 天塩岳 | 55分(累計 4:00) | 30分(累計 2:23) |
| 天塩岳 → 前天塩岳 | 1時間0分(累計 5:00) | 36分(累計 3:21) |
| 前天塩岳 → 登山口 | 2時間25分(累計 7:25) | 1時間26分(累計 5:01) |
| 天塩岳登山口 | ― | 下山 11時07分 |
標準タイムの合計は7時間25分、実測は5時間01分(休憩36分を含む)でした。
出発前夜〜当日朝
前夜は道の駅 とうまで車中泊。4時30分に出発し、愛別ICから道道101号、そして林道のダート9kmを走って5時30分に駐車場着です。
登り① 登山口〜渡渉〜最初の分岐
6時06分、登山口から歩き出します。

歩き出してすぐ大きめの橋を渡り、そのあとも序盤は渡渉が出てきます。ただしいずれも橋が架かっているので、靴を濡らす心配はありません。


しばらく進むとコースが分岐します。ここで新道コースと前天塩岳コースに分かれ、今回は新道コースから登って、前天塩岳コースで戻ってくる周回にしました。
登り② 新道コースの急登〜天塩円山
新道コースに入ると、さっそく登りが始まります。途中、樹林の切れ間から天塩岳が見えました。


道そのものは歩きやすく整備されているのですが、急な登りが延々と続きます。ペースを上げすぎると後半に響くので、淡々と登るのがよさそうです。
この区間で気になったのがヒグマの残留物です。登山道上に何か所も落ちていて、正直なところ不安を感じながら歩きました。音の出るものは必ず持っていきたい山です。
天塩円山が近づくと、それまでの笹薮からハイマツ帯へ変わり、一気に展望が開けます。


7時37分、天塩円山(1,433m)に到着。ここまで1時間31分でした。

稜線 避難小屋〜西天塩岳〜天塩岳
天塩円山から先は登山道も平坦になり、目指す天塩岳が正面に見えてきます。ただし、このあたりからガスが出はじめました。
7時58分、稜線上の避難小屋を通過します。


西天塩岳は今回スルーして、そのまま先へ進みます。最後は山頂直下の登りです。


8時29分、天塩岳の山頂に到着。出発から2時間23分でした。ところが山頂はすっかりガスの中で、展望はまったくありませんでした。北見山地の大展望を期待していたので、これはかなり残念。天気の巡り合わせだけは、どうにもなりません。


下り 前天塩岳〜ガレ場〜登山口
8時51分に山頂を出発し、下りは前天塩岳コースへ。正面に前天塩岳が見えてきます。
9時27分、前天塩岳(1,534m)に到着しました。


天塩岳の山頂ではガスで何も見えませんでしたが、前天塩岳では少し視界が戻り、稜線の様子を見ることができました。そしてここからの下りが、今回のコースでいちばん気を使った区間です。急なうえにかなりガレていて、浮石を踏むと一気に滑ります。焦らず、一歩ずつ確実に下るほかありません。


10時47分、往路で分かれた分岐まで戻ってきました。ここまで来れば登山口はすぐです。

11時07分に下山完了。合計5時間01分の周回でした。
天塩岳(新道コース周回)で気をつけたいポイント
実際に歩いてみて、事前に知っておきたかったと感じた点をまとめます。
- 林道のダート約9km:陥没や落石は少なめだが、離合できる場所が少ない。対向車を考えて時間に余裕を持つ
- ヒグマの痕跡:新道コースの登山道上に残留物が多数あった。熊鈴など音の出るものは必携
- 新道の急登:道は歩きやすいが、急な登りが天塩円山まで延々と続く。序盤で飛ばさない
- 前天塩岳からの下り:急なうえにガレていて、このコースで最も慎重を要する区間
- 山頂の展望はガス次第:8時半の時点で完全にガスの中だった。展望を狙うなら、より早い到着が有利
- トイレは登山口のみ:和式の汲み取り式で、道中にトイレはない
- 午前に下山すると温泉が開いていない:最寄りの入浴施設は平日14時開店(後述)
実際に使った装備
一般的な装備リストではなく、私がこの山で実際に使ったものだけを紹介します。
必須装備
熊鈴(2つ):新道コースはヒグマの痕跡が多かったので、熊鈴はリュックの前と後ろに1つずつ、計2つ付けています。前方と後方の両方に音が散るようにするためです。しかもあえて音色の違うものを2つ使い、複数人で歩いているように聞かせるのが狙いです。
あわせて、ラジオの代わりにYouTubeで推しの動画をバックグラウンド再生しながら歩いています。鈴とは違う「人の声」が出続けるので、音の種類を増やすという意味でも効いていると感じています。
あると安心だった装備
ストック:主に下山時に使いました。とくに前天塩岳からのガレ場では明らかに安定するので、この周回コースでは持っていく価値があります。

天塩岳の登山口周辺で立ち寄れる日帰り温泉
今回は下山が11時台と早かったため、日帰り温泉には立ち寄っていません。参考として、登山口から向かえる施設をまとめておきます。
| 施設名 | 登山口からの位置 | 営業時間 | 料金(大人) |
|---|---|---|---|
| 朝日地域交流施設「和が舎」 (士別市朝日町) | 林道を戻った朝日町市街 | 14:00〜21:00 (土日祝は12:00〜) | 480円 |
| 湯元 協和温泉 (愛別町) | 公式サイトで「天塩岳登山口まで60分」と案内 | 8:00〜22:00(不定休) | 600円 |
| 当麻町健康福祉施設 ヘルシーシャトー(当麻町) | 道の駅 とうまから車で6分 | 10:00〜22:00(不定休) | 700円 |
注意したいのは、最寄りの「和が舎」が平日14時開店という点です。午前中に下山すると、まだ開いていません。
その点「湯元 協和温泉」は朝8時から入れるので、早い時間に下りてきたときでも使えます。愛別IC方面へ戻る道すがらにあるのも都合がよく、天塩岳の下山後にはいちばん現実的な選択肢だと思います。
まとめ|天塩岳は前泊で行きたい道北の二百名山
天塩岳は、林道のダート9kmと標準7時間25分のコースタイムという2つの条件から、前泊とセットで計画したい山です。
コースそのものは、新道コースの急登を淡々と登り、天塩円山から先は展望の稜線歩き。笹薮からハイマツ帯へ切り替わる瞬間の景色の変化が、この山の一番の魅力だと感じました。今回は山頂でガスに当たってしまいましたが、それも含めて登り応えのある一日でした。
気をつけたいのはヒグマの痕跡の多さと、前天塩岳からの急でガレた下り。この2点は、事前に想定しておくと安心です。
※ 本記事は筆者の登山時点での体験・情報をもとにしています。登山道・林道・駐車場・施設の状況は変わることがあります。入山前に最新情報(自治体・山小屋・YAMAP等)を必ず確認し、天候・体力に応じた無理のない計画で、自己責任のもと安全な登山をお楽しみください。とくに単独行の場合は、登山届の提出と行動予定の共有も忘れずに。
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